ビジネス総合保険とは

保険の概要

ビジネス総合保険は、企業活動にまつわるさまざまなリスクを一括して補償できるパッケージ型の保険商品です。損保ジャパンや東京海上日動、三井住友海上など大手損保会社が中小企業向けに提供しており、火災・自然災害・賠償責任・休業損失・情報漏えいといった多岐にわたるリスクを、企業のニーズに応じて自由に組み合わせることが可能です。

経営資源の少ない中小企業にとって、災害や事故は一度で事業継続を揺るがす重大な打撃となり得ます。そうしたリスクに対する「防衛」と「回復力」の強化手段として、ビジネス総合保険は高く評価されています。

想定される事故

企業活動では、さまざまな突発事故が発生し得ます。以下は代表的な想定例です。

  • 飲食店の火災事故:厨房からの出火により全焼、営業不能に。
  • 製造業の第三者賠償事故:欠陥製品による損害賠償請求。
  • 小売業での顧客転倒事故:濡れた床で転倒、慰謝料請求。
  • サイバー攻撃による情報漏えい:顧客データ流出と訴訟リスク。

これらすべてに対し、ビジネス総合保険で備えることができます。

保険の特徴と業種別例

ビジネス総合保険は、個別の保険をバラバラに契約するのではなく、ひとつの契約で複数のリスクを包括補償できる点が大きな特徴です。

  • 財物損害補償(火災、落雷、風水害など)
  • 利益補償(休業損失):事故による営業停止の損害補償
  • 賠償責任補償(施設・生産物・業務遂行など)
  • 情報漏えい・サイバーリスク補償
  • 労災上乗せ補償:労働災害による損害賠償をカバー

契約内容は業種や事業規模に応じてカスタマイズ可能。事故が複数補償にまたがる場合でも一元対応できる点が魅力です。

業種別:最適な補償設計と事例紹介

業種 主なリスク 優先補償内容 補足・特約例
製造業 機械故障、製品欠陥、火災 財物損害、休業補償、製品賠償責任、受託財物 機械損壊特約、商品品質クレーム対応費用
飲食業 火災、食中毒、顧客ケガ 財物損害、施設賠償責任、利益補償 食品衛生事故特約、SNS炎上対応費用
小売業 顧客転倒、万引き、風災 施設賠償責任、盗難補償、財物損害 商品展示品補償、風水災リスク拡大補償
IT業 サイバー攻撃、情報漏えい サイバー補償、PL賠償責任、休業補償 情報漏えい対応費用、BCP支援特約
建設業 墜落・転落、重機事故 労災上乗せ補償、施設賠償責任、財物損害 作業員補償拡充、訴訟対応費用補償
介護・医療業 腰痛、院内感染、精神疾患 労災補償、精神疾患補償、感染症特約 メンタルヘルスケア、感染予防支援特約

製造業

  • 製品賠償責任、受託財物補償、機械損壊補償が重要
  • 精密機械工場にて落雷により主要設備が停止。修理費800万円+休業損失400万円 → 保険で全額補償

飲食業

  • 火災・食中毒・施設賠償責任、休業補償を手厚く設計
  • 店舗での火災により内装全焼 → 営業停止3ヶ月の損失を保険でカバー。信用回復の支援策も活用

IT・情報通信業

  • サイバー攻撃、情報漏えい、業務停止リスクへの備え
  • 顧客情報が流出し、対応費用・見舞金・弁護士費用を含め500万円の保険金支払い。契約者向けにサイバー対策講座も提供。

小売業

  • 店舗内事故、盗難、顧客損害の賠償責任補償が必要
  • 陳列棚が倒れ顧客が骨折。治療費・慰謝料計300万円を保険で負担。事故後の現場改善支援あり。

各社の付帯サービスと実例

  • 損保ジャパン:緊急対応・経営相談・BCP支援。
  • 東京海上日動:災害対応・AI診断・自然災害補償に強み。
  • 三井住友海上:危機対応専門チーム・再発防止支援。
  • あいおいニッセイ同和損保:再建支援・経営セミナー提供。

実例:地方飲食店の火災

中部地方の老舗和食店にて、深夜に厨房から出火し店舗が全焼。設備再取得に約1200万円、休業損失800万円。保険金1900万円が支払われ、3か月後に営業再開。

まとめ

ビジネス総合保険は、災害・事故・賠償・休業・サイバーリスクなど、現代の企業活動に欠かせないあらゆるリスクを一元管理できる非常に実務的な保険商品です。

特に中小企業にとっては、「経営継続のための防災インフラ」としての役割を果たします。業種ごとの特性に応じた柔軟な設計が可能であり、損害の最小化だけでなく、信用や営業の再構築にもつながる重要な備えです。

企業の成長と安定経営のために、補償内容の見直しとともに、リスクの見える化と日常的な対応力の強化を併せて進めていくことが、これからの経営には不可欠です。

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